近代の終焉と母殺し  1999.3−記

目  次
はじめに 第8章 電脳的機械文明の誕生
第1章 農耕社会から工業社会へ 第9章 男性性と女性性
第2章 自然という神の存在 第10章 フェミニズムの誕生
第3章 神からの距離による正統と異端 第11章 母 殺 し
第4章 神とその代理人たる父の死 第12章 無色となった性
第5章 個体維持と肉体労働 第13章 近代の終焉
第6章 新たな論理の獲得 第14章 純粋な愛情の時代
第7章 機械文明の誕生 おわりに

おわりに

 自然のなかに生きた伝統的社会の人々は、永遠の命をもった全能の神と共に生きた。
そのため、孤独を知らずにすんだ。
神を殺し自然から離れて、自己の観念に生きる人間は孤独である。
孤独、これも近代社会の産物である。
情報社会つまり後近代に入ると、人間は工業社会よりいっそう自然や神から離れる。
そのため、今後を生きる人間はより孤独になるがゆえに、よりいっそう純粋な愛情が必要になる。
男性も女性も、本当に愛情なる観念を鍛えなければ、孤独な人間はもはや生きていけない。
今や神や自然に代わって、愛情という精神作用だけが、人間の生を支えるのである。


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