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JICPAジャーナル(編集:日本公認会計士協会)第一法規出版に連載したものです。 |
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第3回 ハードウェアとソフトウェア 近代こそデジタルなる数字と数値的思考の揺籃期だった、と前号に書きました。 そして、バベッジの試みから約一世紀後、1940年代に世界で初のコンピュー ターENIACが、アメリカで生まれます。 大砲の弾道計算のために生まれたENIACは、真空管を18,000本も使った総重量が30トンという巨大なも のでした。 ENIACによって、今日にいうコンピューターの計算・判断・記憶ができるようになりました。 コンピューターと計算機の違いは、コンピューター が電脳とも呼ばれるように、プログラムつまり仕事を処理する手順系列を内蔵しているか否かです。 大型コンピューターの誕生をもって、デジタル時代の幕開けと言うにはいささか抵抗があります。 大型コンピューターの扱いには、専門的 な知識が要求され、我々素人の手におえる代物ではありません。 大型コンピューターは、多くの端末を従えたピラミッド型のシステムで、閉じられた系のなかで信号が行き来するものでした。 そのため、限られた分野でのみ使われ、市井の生活には無縁のものでした。 パソコンと呼ばれる個人用のコンピューターが登場するに及んで、事情は一変しました。 安価ではあってもパソコンは立派なコンピュー ターで、昔の大型コンピューターに匹敵する能力を持っています。 そのパソコンの内部も、電子回路で構成されていますが、物体としてのコンピューターは塊でありアナログ的存在です。 電子回路のなかを、断続的に流れる信号こそ、デジタルと呼ぶべきです。 ここで、長い年月かかって構築されたデジタルなる世界が、 急に身近になってきました。 コンピューターは大きく分けて、二つの部分からできています。 ハードウェアと呼ばれる電子回路やモーターといった機械部分と、その機械を制御するプログラムつまりソフトウェアです。 どんなに高価なハードウェアでも、ソフトウェアを入れないことには、何の仕事もしません。 多くの機械には、決められた使用目的がありますが、ハードウェアには特別な使用目的はありません。 ハードウェアの使用目的を決めるのはソフトウェアで、ひとつのハードウェアに対して、無数のソフトウェアが作られています。 我々がパソコンを使うとき、ハードウェアの内部では、ソフトウェアによって制御されたデジタルな信号がかけめぐっています。 ハードウェアをどう使うかを決めるのはソフトウェアであり、ソフトウェアの開発こそ、ハードウェアに無限の用途を開きます。 インターネットにしても、ホームページの中身つまりソフトウェアが、面白くなければ無価値です。 ハードウェアとソフトウェアがそろって、初めてコンピューターは電脳と呼べるのであって、コン ピューターを生かすも殺すもソフトウェア次第です。 人間の脳細胞のなかでも、信号がいきかっていますが、私たちはその信号を感じることはできず、信号を言葉におきかえて理解しています。 同じように、コンピューターが認識できない回路内の信号を、理解できるようにおきかえるものがソフトウェアです。 誤解を恐れずに言えば、コンピュー ターにとってのソフトウェアとは、人間にとっての言葉と同じものです。 |
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