家を建てようとする方へ:発注する前に  第1部

目    次
  第1部
はじめに 1.建築界の仕組み 2.一軒の家 3.時代が変わった
  第2部
4.設計の限界 5.家は商品か 6.設計を支えるもの

1.建築界の仕組み   その2

 プレファブ住宅は、住宅と名こそ付いていますが、建築の世界よりも工業製品に近い性質を持っています。
電気製品や自動車を買うときと、同じ眼でプレファブ住宅を見て下さい。
車を買うときに、車体の色やシートの素材をあなたが指定するように、プレファブ住宅を買うときは、壁紙や照明器具を指定すればいいわけです。

 ただプレファブ(=工場生産)の性質上から当然なのですが、ある大枠から外れた注文をだすことは出来ません。
大量生産の原則から外れた注文に応えることは不可能です。
車を買うときに、屋根のカーブに注文を付ける人もいないでしょう。
プレファブ住宅もそれとまったく同じです。

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 プレファブ住宅は職人や工務店が作るのではなく、技術者やメーカーが作ります。
現在の日本の工業力は、製品の品質管理が大変に優れていますから、投じただけの見返りは充分にあるはずです。
現在のプレファブ住宅は、優秀であると断言しても良いくらいです。

 木質系、鉄骨系、パネル系、ユニット系と、おのおのの特長を生かしたプレファブ住宅があります。
そのメーカーの数は約100社ほどもあり、互いに販売合戦にしのぎを削っています。
プレファブ住宅は工業製品ですから、必ずモデルチェンジがあります。
今あなたが買ったプレファブ住宅が、何年か後の増改築の必要がでたとき、旧型モデルだから新型とはつなげない(=増築が出来ない)と言われないとこだけを注意すればいいでしょう。

 余計な装飾をおさえたスタンダードモデル(=標準仕様品)なら、プレファブ住宅はそれなりに安価なはずです。
後でも詳しく述べますが、ベーシックな標準仕様は、いうなれば構造にあたります。
この部分は必要最低限度というものがあり、また、逆に充分以上にごつく過剰に作る必要もありません。
ですから、どんな住宅でもある程度、平均的な金額に落ち着きます。

 それにたいして、オプション部分は外観とか、見栄えといった部分に関連をもつところです。
こうした化粧部分は、各人の好みによって決まるため、値段の開きがとても大きくなってしまいます。
たとえば、クロスとよばれる壁紙は1平方メートル700円くらいから20、000円くらいまでという具合に、ひどく値段に差がでます。

 ですから、あなたが安い住宅を手に入れようとしたら、プレファブ住宅も出来るだけ、スタンダードモデルつまり標準仕様品を買うべきでしょう。
プレファブかと言って馬鹿にする必要はまったくありません。
むしろ、将来的にはプレファブ住宅の割合が増えこそすれ、決して減りはしないと思われます。

 最後に注文住宅です。
以前は一軒の例外もなく、(ただし、貸家・アパート類は別です)、建築主つまり住み主の注文によって建築されていました。
ですから、住宅は自動的に注文住宅となり、それ以外の形は取りようがありませんでした。
しかし、他に建て売り住宅やらプレファブ住宅(正確にはプレファブ住宅も注文住宅の一種ですが、現場注文がききにくいという意味で、ここでは注文住宅には含めません)ができたので、それらとの区別のために、何となく注文住宅と呼ばれるようになりました。

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 以上のような理由で、一口に注文住宅といっても、いろいろな工法が混在しており、最も判りにくい煩雑なことになっています。
昔は注文住宅といえば、在来工法と呼ばれる柱と梁の木造軸組工法がすべてでした。
しかし、最近ではさまざまな工法が見られます。
(注文住宅を、木造在来工法という意味に使う場合もありますが、ここでは建築主と施工者の関係を示す言葉として使います。)

 各々の工法は、それぞれに特徴を持っていますので、順を追って説明していきます。
いままでは、発注形式を手がかりにして話を進めてきたのに対して、これからは建築工法の違いを説明することになります。

 木造を大きく分けると、次の二つです。在来工法と壁式工法です。

 在来工法とは今まで何百年も前から、日本で行われてきた工法です。
他に新しい工法が登場してきたので、区別のためにこう呼ばれるようになりました。
土台のうえにまずをたてて、次ぎに横つなぎ材としてを渡し、屋根をのせる順に工事は進んでいきます。
そして、まず屋根を仕上げてから、壁を作るという、どこにでも見られる工法です。
普通の大工なら誰でも、在来工法の施工ができます。

 壁式工法はラワン合板(ベニヤ板)のようなパネル状の壁をたてて、家の形を作る工法です。
パネルの芯になる材料が2インチ×4インチであることから、別名ツーバイフォーとも言われています。
これは在来工法とは逆に、壁が出来上がってから屋根がかけられるもので柱はありません。

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 アメリカ合衆国やカナダで用いられていたのが、輸入されて日本でもひろまりました。
壁で構造を作るため、地震には強いといわれますが、むしろ舶来品というイメージから来るカッコ良さが受けているのかも知れません。
ただし、壁が構造体となるために、増改築にはやや不得手な面があります。

 今までが、木を主要な構造材とするのに対して、全住宅の中では少数ながら、鉄を主要構造材とする住宅もあります。
使用する鉄骨の大きさ(厚さ)によって、軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分けられます。
軽量鉄骨造は主として、プレファブ住宅に使用されているもので、断面がC型をした鉄骨を使っています。

 それに対して重量鉄骨というのは、断面がH型をした鉄骨で組み立てられており、三階建て以上の規模の大きな建物に使用されます。
いずれにしても鉄骨造の場合は、パネル状の材料を外部に張って外壁とします。
ツー・バイ・フォーと異なり、この外壁パネルはどんなに厚いものを張っても、構造を負担することはありません。

 さて最後に、鉄筋コンクリート造を見てみましょう。
柱式(ラーメン構造)と壁式(壁式構造)がありますが、完成した建物はほとんど同じ雰囲気をもっています。
これは重量鉄骨造と同様に、大規模な建物にまで使用されています。
鉄筋コンクリート造とは、鉄筋と呼ばれる直径10〜40ミリの鉄棒をカゴ状に編んだものを芯にして、その廻りにコンクリートを打設する工法です。

 コンクリートの肌を、直接見せた打ち放し仕上げもありますが、多くはその上に塗料やタイルを貼って仕上げることが多いようです。
鉄筋コンクリート造は、建築費が高いという欠点はあるものの、耐震、耐火性能は高いものです。
注文建築と呼ばれるものは、以上の工法の中から、いずれかを選んで建築されています。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい