家を建てようとする方へ:発注する前に  第1部

目    次
  第1部
はじめに 1.建築界の仕組み 2.一軒の家 3.時代が変わった
  第2部
4.設計の限界 5.家は商品か 6.設計を支えるもの

はじめに

 自分の家を建てたいと思ったとき、あなたはまず何をしますか。
住宅展示場を見てまわる。
建築関係の本を買って読む。
知り合いの大工や建築家に相談する……。
そして、もちろんインターネットで資料を集めることでしょう。

 そこで知ったのは、たくさんの情報と真新しい家たちでしょう。
おいしそうな営業マンの話を前にして、あなたは何を根拠に選択しますか。
むしろ、情報をたくさん知れば知るほど、不安が頭をもたげてくるのではないでしょうか。

「あの本にはこう書いてある…」
「あの営業マンはこう言った…」
「前に家を建てた友人はこう言っている…」
「しかし、知り合いの大工はこう言っている…」
そこで、あなたは
「一体、何が本当なのだ」
と思うでしょう。

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 近所の大工とは古くからの知り合いで、自分が家を建てるときは、彼に頼もうと決めてあった人は幸運です。
その大工に何でも相談して、建築計画を実行に移すだけです。
こうしたケースでは、大工を心から信頼できるだろうし、また、全幅の信頼を寄せるべきです。

 たとえ、まわりで誰が何と言おうとも、その大工の言うことを信用し、その大工に何でも相談して下さい。
信頼された大工は責任感にもえ、あなたの希望にそう仕事で必ず答えてくれるはずです。
もともと、家作りとはそうしたものでした。
身近かにいる大工の棟梁に、仕事を頼むのがほとんどでした。

 しかし、息子が成人して1人前に発言権を持ってくると、ちょっと事情が変わるかも知れません。
息子はこう言うでしょう。
「確かにあの大工さんは人が好いし、仕事も手堅いだろう。
でも、あの大工さんの建てた家は何となく、あくぬけない。
どうもやぼったい、その上、みんな同じように見える…。
父さん、今度の日曜日に住宅展示場へでも行ってみようか」

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 住宅展示場には、確かにきれいで新品の家たちが建ち並んでいた。
いくらか心が動かされた。
あの大工は、あんな住宅が建てられるだろうか…
知り合いの大工を信頼しつつも、一抹の不安がよぎります。
そうこうしているうちに、どこから聞きつけたのか、プレファブ住宅などの営業マンが殺到し始めます。

 そこでそのまま家作りを進めると、あとはもう何が何だか判らないうちに、事態は進行し始めるでしょう。
かけがえのない自分の家を建てるのですから、最初に考えておくべきでしょう。

「何を」

 そう、いったい家とは何かということを考えておいても、決して無駄ではないと思います。
誰もが住んでいる家。家という言葉は、とても日常的な言葉です。
しかし、あなたが家を作るのは日常的な仕事ではありません。
家作りは一生に何回もありはしません。
いやひょっとすると、1回だけの経験かも知れません。
ですから、当惑や不安は無理もないのです。
あふれる情報の前で、家作りを心の隅にでも思いついたあなたとともに、家とは何か、家はどのようにしてできているのかを、考えようと思います。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい