八ヶ岳山麓のガラス箱   No.19 

進み始めた工事
 徐々にだが、確実に工事は進み始めた。
進まないときには現場監督の口も重かったが、工事が進み始めると、顔つきも明るくなり、口数も多くなった。
電話で確認しても、工事が進んでいるのが判る。
やっと安心である。
 
防護ネットを通しても、サッシなどが建て込まれているのがわかる。

 屋根もきまってサッシが建て込まれ、雨が吹き込まなくなった。
夏の暑さを心配したが、それは無用だったようだ。
まだ盛夏ではないが、すでに屋根は手が付けないくらいに焼けて熱い。
それでも、室内は風通しがよく、実に涼しい。
豪放磊落な自然志向の建築主といえども、やはり涼しいほうが良いだろうと思う。

 防護ネットがあるので、まだ開放感はないが、ネットがとれたら良い開放感だろう。
ところで壁に囲まれた家だったら、サッシの枠は気にならないが、ガラスの家を造っていると、サッシの枠が邪魔だと思えてくる。
西洋のガラスの家は、ガラスを壁として使っているので、開閉しなくても良いが、我が国では開閉が求められる。
サッシの枠はどうしても消せないが、ここを一枚ガラスで納めることができたら、どんなにスッキリするかと思う。
しかし、次は柱が邪魔になってくるだろう。

 内部空間を作ることから始まった建築だが、ガラスの建築は内外の仕切を消そうとしている。
内外を一体化させようとしているのが、ガラスの建築である。
屋外の自然と一体化しながら、室内の快適性を残す。
きわめて矛盾した問題に、設計者は直面している。 (2005.07.05)
 

「タクミ ホームズ」も参照下さい
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