八ヶ岳山麓のガラス箱   No.13 

柱の撤去
 建築が着工した。
本来なら、ここで設計は終了し、工事監理に移行しているはずである。
しかし、時とすると設計は、まだ続くのである。

 平面計画を裏返したので、南東への開放感がグンと増した。
すると、東の真ん中に立つ柱が、どうも気になってきた。
4メートルの中央に柱があるのは邪魔じゃないか。
そう思えてきた。
この柱がとれないものかと、構造設計者に相談すると、6本の柱で大丈夫という返事だった。
そこで早速、施工者に柱をとるという指示を出す。
 右側の1番とおりの中央の柱(白い矢印)を、抜いたのである。
ここまでは良かった。
窓の外にはシャッター(雨戸)がついている。
施工者は、シャッターの開口寸法が、この間口に合うものがないという。
柱をとっても、シャッターのガイドになる小柱が必要だというのである。
せっかく柱をとっても、シャッターのガイドが立ちふさがっては困る。
そんな時、施工者がサッシのメーカーを変えたいと言ってきた。

 当初は、トステムで設計して、見積もりもトステムからとった。
しかし、トステムは対応が鈍いらしく、三協に変えたいという。
性能が同じなら、メーカーは問わない。
もちろんOKの返事をする。
と同時に、三協に問い合わせてみた。
すると、この中央の柱は取り外し可能だという。
シャッターを下ろすときだけ柱を立てればいいので、上げたときには取り外しておけるという解答だった。
この間、約3日。
ちょっとどきどきしたが、無事に柱をとることができた。

 原設計では、2枚建てのサッシが2口入る予定だったが、4枚建てのサッシ1 口ですむ。
最初からこうしておけば良かったと反省はするが、発想がある方向に流れると、別の方向は見えにくいものだ。
なかなか柔軟な発想はできない。
ポリポリと頭をかきながら、施工者と打ち合わせをする設計者だった。 

「タクミ ホームズ」も参照下さい
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