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開口部 ガラス・ウォールという言葉がある。 現代的なビルの壁などは、石や金属で覆われるのではなく、ガラスだけで作られていることも多い。 ウォールというのだから、壁には違いないが、透明だから壁と言って良いのだろうか。 高層ビルの床から天井まで、透明ガラスでできていると、その近くへ行くのが怖い気もする。 この問題は、「考える家」の第4章<柱と壁>を読んでいただくとして、透明のガラスを壁につかった場合、この壁は開閉できないくても良いか。 外国の建築雑誌を見ると、ガラスの家がたくさんあるが、それらの多くは開閉しないことが多い。 つまり、西洋人にとっては、壁にガラスを使っても、壁である以上開閉する必要はないようである。 しかし、我が国では違う。 ガラスの箱を作って、そのガラスが開かなかったらクレームであろう。 もちろん商業建築にあっては、開閉できなくても許される。 匠研究室でも、かつて芦ノ湖畔に<アンの家>という土産物屋を設計したことがある。 このときには、周囲のガラスは開閉せず、完全空調で対処した。 しかし、住宅ではこうはいかない。 穏やかな日には、そよ風が入らなければならない。 だから、ガラスは開閉しなければならないのだ。 そこでどのように開閉させるか、それが思案のしどころになってくる。 大地の上に寝ころびたい。とすればガラスであっても、開放感溢れるように全開できたほうが良い。 全開するには、開き戸になる。 |
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すべて開け放てば、残るのは柱だけである。 風は通るし、見晴らしも良い。 こうしたいが、できない理由がある。 今回の立地は、八ヶ岳の麓である。 何度も冬の厳しさを書いてきた。 冬にもこの家を使おうとすれば、断熱を考えざるを得ない。 このガラスは、すべて2重ガラスを予定している。 3メートル間口を、2枚立ての戸にすると、戸の重さは凄まじいものになる。 重いガラス戸を支える開閉機構も、必然的に重装備になる。 扉を支える柱を太くできれば、開き戸も可能だろうが、華奢に見せたい柱を太くはできない。 2重ガラスだけでは、防寒には不足だろう。 そこで内部に障子を立て込んだわけだが、開き戸に障子はあわない。 だいたい障子は半分しか開かない。 |
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引き違いの戸に障子を立て込んでくると、何だか和風の空間になる。 大地に寝そべるためには、床も板ではなく畳にしたので、いわゆる和風の香りが強いものばかりになってしまった。 柱間の寸法は、サッシ製作寸法で決まってしまう。 サッシメーカーのカタログによれば、2枚立てのサッシでは、3メートル間口までが限界らしい。 高さは2.25メートルまで。 欄間を入れると開放感が削がれるので、床から鴨居まで一枚の戸を入れることにした。 これで戸の大きさは、幅1.45メートルで高さは2.25メートルである。 通常の住宅に使われるサッシ寸法は、幅90センチに高さ1.8メートルだから、このサッシがいかに大きいか。 サッシは製作可能だとしても、内側に入れる障子も同じ大きさになる。 サッシはアルミなので狂わないが、障子は木製だから大きくすると狂いやすい。 障子の桟や組子を太くすることを考える。 いずれにせよ、普通ではないものを作るのは、いろいろと大変なことだ。 |
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「タクミ ホームズ」も参照下さい |