八ヶ岳山麓のガラス箱   No.05

構造計画
 匠研究室では、住宅系の建物には鉄骨造を使うことは少ない。
というのは、鉄骨造は設計の自由度は高いが、揺れとか断熱などの問題を解決するには、木造に比べて費用がかかる。
そのため、30〜40坪程度の専用住宅では、木造を採用することが多い。
しかし、今回は、鉄骨造しか選択の余地はなかった。
 木造では、左図のようなことになる。
つまり木造では筋違を使わないと、構造体として自立できない。
今回の計画では、筋違が使えないので、木造は選択できない。
また柱が太くなる鉄筋コンクリートも選択できない。
 鉄骨造でも、平屋だから選択できる構造だろう。
つまり、下図のように基礎の中に、鉄骨の柱の根本を埋め込んでしまう。
すると鉄の柱は、コンクリートの基礎に支えられて倒れなくなる。
つまり、大地の中に何本か柱を埋め込んで、それぞれの柱を自立させるのである。
すると、柱のうえに薄い屋根を乗せれば、構造体が完成する。
 木造では、柱をコンクリートに埋め込むことができないが、鉄骨なら大丈夫である。
この構造体は、柱の1本1本が自立しているので、屋根は構造を負担していない。
そのため、風で飛ばなければいい。

 柱は屋根を支えるだけだから、細ければ細いほど良い。
10センチ以下の柱を考えたが、構造設計者に相談すると、それは不可能だった。
12.5センチの柱になった。
 大地に寝ころぶ家の母屋は、鉄骨に決めた。
しかし、水回りのほうは、木造にするかブロック造にするか迷った。
浴室部分にはブロックを使わざるを得ないので、結局全部ブロック造にして、屋根はデッキプレートという鉄製の折り板を乗せた。

 ブロック造の場合、屋根スラブはコンクリートにしなければならない。
しかし、屋根にコンクリ−トを使うと、屋根のためだけにコンクリ−トを打設しなけれならず工事費がかさむ。
そこでブロックの頂上部に鉄骨をまわして、デッキプレートに緊結して水平剛性を確保することにした。
デッキプレートだけでは暑いので、その上には100ミリの断熱材を敷く。

「タクミ ホームズ」も参照下さい
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