第4章 ワンルーム・マンション
3.ワンルームマンション建築の指導要綱 その1
マンション建築のかたわら、1978年頃から、ワンルーム・マンションは建築されはじめていた。
その頃はまだワンルーム・マンションという言葉がなく、ビジネス・マンションとかミニ・マンションとか呼ばれていた。
それにしても、1983、4年になぜ集中的に指導要綱が策定されたのであろうか。
本研究のため筆者は、各自治体の担当者に面接調査をした。
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川崎市役所では
<紛争が多発したとあるが、どんな紛争が起きたのか具体的に教えてほしい?>という質問にたいして、
「当時の担当者はもう誰もいないので、よく判りません。どうもすみません」*15
と、窓口の担当者は答えた。
課員が数十人はいると思われる建築指導課での解答である。
応対してくれた人はたいへん気のよさそうな人で、質問に答えられなくて本当にすまなそうであった。
筆者としては、まだ10年ほど前のことだから、どんな状態だったか話が聞けると思っていたので、すこぶる拍子抜けした。
その後、市民相談課にいって、ワンルームマンションに関する市民のクレームがあるかどうかを尋ねたところ、ただちに建築指導課に電話がいってしまった。
役所とは不思議なところで、さっき尋ねたときは対応にはでてこなかった副主幹なる人物が駆けつけてくれた。
しかし、彼も紛争については具体的に知ってはおらず、行政官は決まったこと=指導要網を忠実に実行するのが役目だと考えているようであった。
「具体的な紛争の窓口は、区の建築課ですから、私どもでは判りません。主なものは、深夜の騒音、ゴミ、違法駐車ですかね」*16
という解答であった。
千代田区では
「紛争はよく判りません」
<ではなぜ、指導要綱を作ったのですか?>
「当時、マスコミに叩かれたのですよ」*17
世田谷区では
「請願もでましたし、マスコミで大きく取り上げられたですから」*18
杉並区では
「昔のことなので、紛争の具体例については判りませんが、…」*19
練馬区では
「ワンルーム・マンションは悪の巣窟だよ、いやそれは冗談だけれどね…」*20
面接調査に答えてくれた人々は、みな実直でいい人ばかりであった。
彼らの誰をも批判するつもりは、まったく無いことをお断りする。
その上で問題にしたいのは、ワンルーム・マンションの紛争はいったい何だったのか、そして、それを解決するためにできた指導要綱は何なのかを問いたいのである。
多くの自治体で、ワンルーム・マンションの最低住戸面積、適用範囲、天井高、隣地からの離れの距離、ゴミの集積所、駐輪場の設置、管理の方法などを指導要綱に定めている。
極端に狭いワンルーム・マンションが建てられたことから、建築の物理的な数字に規制を加えようとしたことは理解できる。
しかし、前述のごとく、ワンルーム・マンションの紛争は、建築それ自体の間穎というより、入居する人間の問題だったのではないだろうか。
それ故に、各自治体では管理面にも指導要綱の規制をかけたのであろう。
| 各自治体のワンルームマンション建築の指導要網一覧 |
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| 調査により作成 |
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