第2章 シングルズの諸特性
4.シングルズの今後 その3
5.離婚の増加
離婚の増加がよく話題となるが、実はそれは大した数字ではない。
「普通離婚率は1984年から下降している。それは結婚する若年の男女の数が少なくなったためであり、夫婦100組あたりの『訂正離婚率』は依然として上昇している」*24
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| 井上輝子他編「女性のデータブック」(P21)より |
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というが、最も少なかった1980〜85年にかけてにたいして、1985年に2倍になったにすぎない。
決して激増と言うほどではない。
離婚にかんしていえば、わが国では実質的に夫婦関係が破綻しても、家庭内離婚ともいわれる状態にとどまる例が多い。
夫婦関係の破綻が、必ずしも法律婚の解消とまでは至らないのである。
これがいいか悪いかではなく、統計上に表れる離婚は、わが国では言われるほどには多くはない。
そのため、離婚によるシングルズの発生は、西欧諸国ほどは多くはない。
しかし、離婚は確実にシングルズを発生させることは間違いない。
今後、離婚の動向がどうなる判らないが、多くの場合、女性のほうが不利な状況に追い込まれる。
それゆえに離婚後の女性シングルズの住生活は、かなり困難なものがあることは簡単に想像がつく。
とすれば、ここでもシングルズの生活は検討を要求されている。
6.単身生活の容易化
これは、物心2つの面で言える。
まず独身でいることが、社会的に認知されるにしたがって、シングルズでいることにたいして抵抗がなくなっていくことである。
今までの社会では、人間は結婚するものだという価値観が支配的であった。
そのため、単身生活者に対して、何か異常なものをみるような目がそそがれたが、もはやそれはない。
シングルでいることにたいしてのためらいが、格段に減ったのである。
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これは、シングルズのままでもいいという自己正当化につながりやすく、シングルズの跋扈を許容することになるのである。
<いかず後家>という言葉が、女性を結婚へと駆り立てたとすれば、それはもはや死語になるであろう。
もう一つは、物質的に一人暮らしが容易になることである。
コンビニエンス・ストアー(コンビニと略す)などの普及は、シングルズの生活を格段に便利にした。
コンビニにおける商品はすべて小口化されており、単身生活者にとっては、コンビニの商品は割高であると知りつつも、結局は便利なのである。
また、通信機関の発達や個口サービスの普及は、ますますシングルズの生活を容易にしていくであろう。
たとえば、カードの普及、宅配便の夜間配達、ファックスの普及、銀行の24時間営業化などなどシングルズにとって、生活はすこぷる便利になっている。
生活の容易化という背景は、男性のシングル化を促す。
というのは、今まで男性が結婚する理由の一つに、家事労働をやってくれる人を求めるのがあったからである。
戦前は家事労働がすべて人力に頼っていたから際限がなかったし、家事労働の担当者を必要とするほどの仕事量があった。
しかし、一人暮らしの容易化は、家事労働を専門に担当する人間を不要にしたの。
つまり、単身生活が便利になることは、男性にとっては、結婚する動機づけが一つ減るのである。
蛇足ながら、24時間営業のコンビニは、シングルズが深夜に帰宅する道すがら、アットホームな雰囲気に心を切り替えるために立ち寄る楽しい場所でもある。
7.人間関係の希薄化
これは定量分析はできない。
けれども、最近の大学生諸君をみていると、男女ともに自分に必要な部分でだけつきあう希薄な人間関係を好む傾向を感じる。
生身の人間はきれいごとで済むはずがなく、同居していれば、自分がいやなときでも他人は存在する。
男と女の同居は、それぞれ一人の時なら不要であった配慮を必要とする。
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同居することによって発生する濃密な人間関係に、耐えられない男女が発生しているように感じるのである。
彼ら(彼女ら)は、一時的な同棲ならともかく、長期にわたる同居を歓迎しないのではないだろうか。
そこで彼ら(彼女ら)は、それぞれがシングルズの生活をしながら、必要に応じて時間を一緒に共有するような形の生活を指向するのではないだろうか。
今まで、同居は女性の方が男性に合わせたきらいがあった。
しかし、今や女性が男性の生き方に合わせる必然性はまったくない。
男性の生き方に自らを合わせなくとも、経済力さえあれば独身でいることも可能になった。
そして、戦前にくらべると、女性が自活するだけの経済力を身につけるのは、はるかに容易になったのである。
そのため、女性はシングルズでいることが、自然のうちに可能になったのである。
今まであげた7つの理由は、きわめて恣意的に選択したのであるが、シングルズの台頭を予測するには充分な理由である。
こうした理由によって、シングルズは増えこそすれ、減ることはないと予測するのである。
しかも、今まで述べてきた理由により、シングルズは若年層に特有の現象ではなく、男性にとっても女性にとっても、人生のどの時期においても発生することが理解されるであろう。
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